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嚮心(きょうしん)塾日記

西荻窪にある、ちょっと変わった塾です。

先生を信じすぎるな。

今年度は、(中・高・大の)受験生が過去最多であったため、てんてこまいで、3ヶ月に一度書き換えるこのパンフレットも、ほぼ半年間放置してしまい、本当に申し訳ありませんでした。

さて、この時期に現高2、新高校3年生が学校の先生に最もよく言われる言葉として、「塾や予備校に行くな。毎年、学校の勉強を頑張っている受験生が合格する。逆に、塾や予備校に通って、学校をバカにしてる子は落ちている。」があります。実際にこの言葉を信じて、次の一年を学校と自分の力だけで勉強しようとしていらっしゃる新受験生の人も多くいると思いますが、僕はこの言葉をうかつに信じてはならないと考えております。

なぜそう思うのかと言えば、まず高校の担任の先生が自分のクラスの生徒一人一人の受験勉強の進み具合を正確に把握することなど、ほぼ出来ていないであろう、という理由からです。自分が教えている科目一つについてだけでも、生徒一人一人、たとえば1クラス40人だとしてその40人のそれぞれについて、○○さんはどこが得意でどこが苦手か、だからその苦手な部分をどのようにつぶしていくか、ということを全員について把握できている先生はきわめて稀なのではないでしょうか。ましてや、受験とは最低でも3教科、国公立であれば5教科以上の勉強の完成度のバランスが非常に重要なわけです。自分の担当している科目ですら、一人一人完璧には把握できていない先生方が、さらに他の科目とのかねあいを考えながら、どのように受験生に正確なアドバイスが出来るのかは、きわめて疑問です(たとえば、数学が好きで、数学ばかり頑張って力がついている子に対して数学の先生は「これはすごい!この子は合格するな。」と思ってしまうことが多いのではないでしょうか。しかし、「誰にも負けない無敵の数学力」をつけたくても、一般に難しい大学ほど数学の合格ラインが低いものです。なので、数学をそのレベルまで到達させる努力を、他の教科(英語・理科)に向けて鍛える方が遙かに合格する可能性は上がるわけです。もちろん合格だけが全てではありませんが、しかし、大人はそのような目の前のものに集中したがる子ども達の視野の狭さを広げてあげる役割をしなければならないと思います)。その意味で、一人一人の各科目の勉強の進み具合をトータルでチェックしてくれて、相談に乗ってくれる大人がいることは、受験生にとってはかけがえのない機会ではないでしょうか。しかし残念ながら、それをできる高校の先生はかなり稀な存在であると僕には思えます(僕はそのように受験生の全教科について把握しようとしている高校の先生の話を寡聞にしてまだ聞いたことがありません)。
もちろん、そのようなことを本当にやろうとすれば、先生方にとっても、かなりきつい作業になることは確かです。嚮心塾では実際に勉強を教えるだけでなく、僕が受験生一人一人の勉強の進み具合をその子に必要なすべての教科に渡って把握し、相談やアドバイスをしております。それを今年度は大学受験生12人に対して行ったわけですが、本当に大変な一年間でした。これを40人に対して出来るか、と言われれば、全教科それなりには勉強している僕でも、まだ自信が無いところです。ましてや、一つの教科だけを教える高校の先生方にできるとは思えません。
 そして、理由の二つ目は、「そんなこと言っても、学校の勉強だけで合格している受験生は毎年出ている!」と学校の先生方がおっしゃるときのその「具体例」としてあげられる受験生はきわめて特殊な「例」だということが挙げられます。学校の授業だけ受けていても、その予習復習を徹底的にこなし、さらにはわからないところは徹底的に調べ、そしてそれでも足りないところは問題集や参考書で勉強し、わからないところは学校の先生に聞けば、確かに東大・京大でも合格できます。しかし、それを実際にこなせる受験生が一体何%いるのでしょうか。多くの受験生はそこまで勉強のやり方がわからないでいます。どこまで徹底したらよいのか。逆にどこまでスピードを上げたらよいのか。どの部分はさらっとやる方が良くて、どの部分はしっかりとやらなければならないのか。これらを自分で分析をしてできる受験生というのは、ごく一部のきわめて優秀な、自分でもう既に勉強のやり方を鍛えてきている子達です。その子達が学校の授業だけで事足りているから、「みんな学校の授業さえきちんとやっていれば合格できる!」と先生が強弁するのは論理の飛躍でしょう。その、「きちんと」をどこまでやればよいのかがよくわからないのが、大多数の受験生であるわけですから。本来学校の先生が「塾や予備校に頼らずとも、学校の勉強をしっかりやっていれば、必ず合格できる!」というのであれば、それを信じて勉強をしてきた子達の進路調査をして、本当にそれができているかをご自身でチェックするべきでしょう。一人二人の優秀な子を見て生じる、自分の願望も交えた印象論のせいで、毎年毎年多数の新たな受験生が受験に失敗することについては何とかしなければならないと思います。

きつい口調になりました。しかし、これは声を大にして言わねばならないと思うぐらい、このような誤った指導で、しっかりと実力のつかないまま受験生としての一年を終わらせてしまう高校生が毎年山ほどいるのです。その子達の人生にとっても、あるいは本来様々な可能性のあるはずである若い世代がそのような先生方の貧困な思いこみの犠牲になるのをこの社会の一員として、何とかしていきたい。そのように切に願っております。(学校の先生がもし「塾や予備校は営利目的だ(もちろん、そのような塾や予備校が多いことは確かです)。学校の授業だけで合格できる!」と断言するのなら、自分の受け持ちの生徒の指導や、指導が無理なら少なくともその生徒にとって必要な全教科の勉強の進み具合や現時点での課題などを一年間しっかりと把握し続けて、指導していただきたい。それをしないで、「学校の授業だけで合格できる!」と言い張るのは、僕には無責任な態度にしか思えません。)

その上で、そのような「何となく勉強する」という一年ではなく、必死に勉強する一年を過ごしたい受験生は是非、嚮心塾に来ていただきたいと思っております。「やる気はあるけど勉強のやり方がわからない」という方とこそ、徹底的に自己を鍛える一年をともに過ごせるとうれしいです。
根拠のない学校の先生の意見に左右されたり、決まり切った予備校のサービスを享受するのではなく、自分の頭と手で勉強の仕方を作り上げていきませんか。そのために、嚮心塾は全力でサポートをしたいと思っております。
その上で、徹底的に勉強を重ねてきた受験生は僕のアドバイスに対しても、「そのやり方は一般的にはよいが、もうちょっと自分はこうした方がよいのではないか。」と疑問を差し挟んでくれるようになります。そのようになってくると、自分で勉強のやり方を鍛え、本当に素晴らしい実力がついてきたと言えるでしょう。その意味でも、その「先生」が仮に僕であったとしても、「先生を信じすぎるな。」と僕は言いたいと思っております(もちろん、自分が初学者であるのにもかかわらず勉強のやり方に文句を言うのはあまり生産的ではないこともつけ加えておきますが。しかし、そのように疑問をもつことは大歓迎です。)。
2011年3月3日 嚮心塾塾長
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