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嚮心(きょうしん)塾日記

西荻窪にある、ちょっと変わった塾です。

勉強時間を増やすためのいくつかの方法。

さて、前回「『効率良い方法教えて!』とか四の五の言ってないで、(自発的な)勉強時間を増やせ!」という話を書きました。そのアドバイスは正しいとして、勉強時間を増やすをどう実現するかが難しいのもまた事実です。そのためにどうしたらよいのか!というのをざっくり書いてみましょう。

①科目間の勉強のバランスを気にしない。
おいおい。「科目間の勉強のバランスこそが受験では一番大切だ!」って言ってる普段の主張と矛盾するじゃないか、というツッコミをいただくかもしれません。もちろん、科目間の勉強のバランスは受験勉強において、一番大切です。しかし、それを考えるのはもっと後、まずは長い時間勉強する習慣がついてからで十分です。

そもそも勉強時間をあまり長く取る習慣がない子にとっては、まずは自分にとってハードルの低い勉強から自発的な勉強時間を作っていくことが大切です。嫌なことを、嫌なものからやるのは、ハードルが高すぎて、必ず挫折します。まずは、自分にとってやりやすい教科から始めて、自発的な勉強習慣を作りましょう!英語が得意な子なら英語から、数学が得意な子なら数学から、ですね。英数国が受験勉強では早めに鍛えておくべきなので、この「勉強時間を長くしていくためにする、好きな勉強」はできれば英数国のどれかから選べれば良いでしょうが、それがなければ社会や理科でも大丈夫です!まずは「(テスト前だから、という強制性、他者からのリクエストではなく)自発的に勉強時間を作ること」を好きな勉強から始めるのがよいです。それができていけば、それをだんだん長く、とっていきます。

好きな科目について自発的に勉強時間を長くとることが習慣として根付いてくれば、今度は科目間のバランスを考えていきましょう。しかし、これも「国公立大学だと英数国理社全部あるから、全部やらなきゃ!」といりません。理系なら英数理、文系なら英国社ですが、理科や社会は何なら後回しでも大丈夫です。

この、科目を絞るやり方には、勉強時間を長くすることへの心理的ハードルを下げるだけでなく、そもそも一つの教科についてやり込む方が、自分が勉強したことの成果が目に見えやすくなる、という理由があります。たとえばバランス良く英数国理社をやったって、成績なんかあがりませんし、実力の上昇を自分で感じることは不可能でしょう。そうすれば、当然「せっかく勉強時間を増やしたのに!」と落ち込んで、勉強時間を増やすことを断念してしまいます。それがたとえば英語だけ徹底的にやり込む、とかすれば、英語の力がついていくことは日々の授業の中でも感じることができます。そのように「成長」を感じられれば感じられるほどに、自発的に勉強時間をとることへの抵抗感が減っていき、「自分のために必要なこと」と思えるようになっていきます。

また、科目を絞ると一つの教科についての勉強方法を試行錯誤していくこともできます。そこで、自分がどのようにすれば身につくのかを学べれば学べるほどに、それは他の教科を勉強するときにも使えるノウハウとなっていきます。逆に最初から「バランス良く」勉強することは、学習効果が見えにくく、学習方法のノウハウも蓄積されにくく、そして苦手な教科をやらざるを得ないことへの心理的ハードルが高いがゆえに継続しにくい、と最悪です。静止摩擦力の方が動摩擦力より大きいのは、人間の精神においても同じであるので、動き始めようとするときに完璧主義をとってしまわないことが大切であると言えます。

②毎日、勉強時間・勉強内容・進捗状況の記録をつける。

これはレコーディングダイエットとかと同じですね。記録として形にすることで、モチベーションが上がります。少なくとも、自分の努力が「学力」という形で目に見えるようになる前であっても、目の前に勉強記録として残り、しかもその記録の中で勉強時間を伸ばしていければ、勉強へのモチベーションを保つツールとなります。

さらに、書き溜めた記録を見返す時間を作ることで、自分が勉強する際に、どのような部分には時間がかかってしまってあまり進まないのか、どのような部分は逆に効率よく進めていけるのかについて考えていく素材にもできます。これもとても大切で、学校のテストや小テストや課題といった「やらされる勉強」には高校生はみなウンザリしてしまっているので、自分の勉強がどのような時間・効率であるのかについては見ようとしない、という癖がついてしまっています(だから、課題や小テストは本当は最低限の最低限に減らすべきなのですが…。)。人間というのは多くのことをリクエストされればされるほどに、その多くのことをいちいち感じたり考えたりしていくと、自分がもたなくなるので、それについては感じたり考えたり、ということをしないようになっていきます。ほとんどの受験生は自発的な勉強を始める前には、そのように「勉強は(テストとかのために)するけど、自分の勉強がどうなっているかについては何も考えない」状態にさせられてしまっていることが多いのです。まあ、課題や小テストで高校生を拘束すれば力がつくと思い込んでいる学校がダメなわけですが。しかし、そのような勉強方法のまま、時間や量だけを増やしても必ず成長には限界があります。だからこそ、勉強内容を吟味する、すなわち「味わう」ことを受験生の中に回復させていく必要があります。味わえば味わうほどに、改善の仕方について考えるようになるからです。このように勉強記録は、勉強時間を増やすためだけでなく、勉強の質を高めるためにもとても大切なことです。

できればこうした記録は、自分で見返すだけではなく、誰かに報告したり見てもらうと緊張感を持って勉強していくことができるのですが…。ここは難しいですね。客観的に判断できる大人がなかなかいません。「これしか勉強時間とってないのか!」と叱ってきそうな人に見せるのであれば、誰にも見せずに自分でつけていくだけでよいと思います。ここでも他人(親や教師)は最初から完璧主義で受験生にあれもこれも求めるものです。しかし、その完璧主義は、これからだんだんと形として結実させていこうとする受験生のやる気を根こそぎ殺してしまうものです。そのような雑音が入って、受験生本人のやる気がなくなってしまうのなら、誰にも見せない方が良いと思います。

③家で勉強しない。

おっと。ここで塾の宣伝をぶっこんできたか!とお思いの皆さん。半分正解です。ただ、この「家で勉強しない。」ということはとても大切なことです。僕も長いこと受験に関わり、特にこの自学自習スタイルの塾を開いてからの15年あまりは、一人一人の受験生の勉強状況をかなり細かく把握していくことを続けていますが、家で長時間勉強をするのは、どのように優秀で、勉強することが苦ではない受験生にとってもまた、非常に難しいことです。

もちろん、「私は家で勉強できるよ!」という受験生もいるとは思います。ただ、それはせいぜい5時間以内の勉強でしょう。受験勉強に本格的に取り組んでいくにしたがって、一日の勉強時間が10時間を超え、12時間とか14時間とかになっていくと、やはり家で長時間勉強するのは非常に難しくなってきます。また、時間は確保できるとしても、どうしても集中のクオリティは落ちます。

なぜそうなるかと言えば、家では行動の選択肢が多いからです。トイレに行く。シャワーを浴びる。おやつを食べる。ご飯を食べる。テレビを見る。パソコンを開く。タブレットを見る。スマホを見る。本や漫画を読む。部屋を片付ける。その他もろもろあるでしょう。選択肢が多ければ多いほどに、ふと集中が切れた瞬間に気になるものがでてきてしまい、それに時間をかけたり、時間をかけるまでは行かないとしても、再び勉強へと集中するのにエネルギーを必要とします。

特に、自発的な勉強時間がまだまだ短いうちには、勉強よりも他のことが気になってしまうものです。だからこそ、そういったものから物理的に距離を置き、そもそも触れることのできない空間で勉強をすることが大切です。そこを「意志が強ければそうした誘惑には負けないはずだ!」などという精神論で乗り切ろうとすれば、必ず失敗することになります。

人間は弱いのです。勉強を始めたばかりの受験生から見たら「神」のように見える毎日16時間勉強するような受験生もまた、そのように意識を逸らすものに満ちた空間で同じように勉強ができるか、と言えば決してそうではありません。「環境を整えなければできないなんて…」と親御さんや教師に言われるかもしれませんが、じゃあお前らはできるのか!ということですよね。実はどのように優秀な大人だってそのように誘惑の多い環境で集中して長時間取り組むことなどできません。

そのように自分の心の弱さをまずはしっかりと自覚することが大切です。そして、「そんなの気持ちがあればできるはず!」というすべてのアドバイスは、受験生自身のことを思って言ってくれているのではなく、精神論に依拠することで環境を整える努力を怠る自分たちの正当化にすぎない、と思いましょう(兵站を軽視しては精神論で乗り切ろうとして悲惨な目にあった旧日本軍のようですね!)。そして、勉強だけに集中し、スマホその他から距離を物理的において勉強できる空間を作っていくことが大切です。(そのためには嚮心塾に!ここで宣伝!)

「大人になってから、家で勉強できなかったら困るだろ。」という否定的な意見も親御さんからはよく聞くのですが、じゃあその親御さんは家で毎日長時間勉強してるのでしょうか!?とまで辛辣なことを言わないとしても、大人になったって、勉強をするためにはカフェとか何なら有料自習室とか、環境を整えればよいのです。ここでも敵はやはり完璧主義です。「家で長時間勉強できるのは一番良い」という理想にしがみついては、結局勉強できないままに無為な時間を重ねるのであれば、そこにはお金をかけてでも、一生自分が勉強し続けられる体制を確保したほうが絶対にプラスになります。

工夫として大きなものは、これくらいでしょうか。
日本人はどうも、「理想」にしがみついてはそれと心中して失敗すれば、少なくとも自分には責任がない、というように思考を放棄しがちです。それこそがしかし、無責任な態度でしかありません。理想の勉強場所、理想の勉強時間、理想の勉強方法を実現しようとして失敗を続けるよりは、弱くて汚くて情けない自分であることをそもそもの前提とし、そのような自分に嘆くことなく冷静に観察していった上で、そのようなダメな自分でもどのような形なら努力できるのか、という自分なりの方法を作っていこうと考えていくことが、自分の人生を実りあるものにする唯一の道であると思います。

また、今は超人的な努力をやすやすと継続しているように見えるスーパースターたち(イチローさんとか、将棋の羽生さんとか)も、実はそのように弱くて汚くて情けない自分をどのように野放しにしないで努力をしていくか、の工夫の積み重ねの結果として、今はそのように見えるだけであると思います。そのように理解しようとして自分もまた弱い自分をどうにかしていく、ということが彼らを理解しようとしていく、ということだとも思います。

もちろん、こうした研鑽の場として、嚮心塾にもぜひ通ってください!!(懇願)
色々ノウハウや考え方を長く書きましたが、「通わなくてもこれやればいいんでしょ!」と思ったそこのあなた!まだ甘い!
「本当に大切なことは、書き留めたりせずにアカデメイアの中でしかしゃべらない」byプラトンです!
この1000倍くらいは書けます!!
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