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嚮心(きょうしん)塾日記

西荻窪にある、ちょっと変わった塾です。

名店の気配。

「今日は合格体験記が上がってきたし、それを口実にサボるんじゃない?」という予測を裏切っての、まさかの一日2回の更新!受験生の合格体験記の美しさに比べればお見苦しい文章ですが、ご容赦願えたら嬉しいです。

今日で国公立前期も全て終わり、後は結果を待つだけです。とはいえ私大入試の後期試験も3月頭からあるため、相変わらず塾では緊張感のある日々が続いています。1月、2月、と必死に勉強してきて、それでもなかなかうまくいかずに苦しんできた子たちが、3月入試を最後まで必死に戦おうとしている姿に、本当に頭が下がります。こちらも出来る限りの対策を練っていきたいと思っています。

教えるか食べるか眠るかぐらいしかこの時期はできていないので、食べることの話題くらいしかないのですが、「名店の気配」というものがあります。これだけ食い意地を貼っていろんなお店で食べていると(と言ってもラーメン屋ばかりなのですが)新しくオープンしたお店でも、「ここの店主さんは違う!」と感じるお店はあります。
僕が言語化できるもので言うと、

①従業員同士がおしゃべりをしない。
②店主さんの目が店の隅々にまで行き届いている。
③どのようなお客さんに来てもらいたいか、が明確である。

です。
①や②はよくわかると思うのですが、③について説明したいところです。
たとえば、先日僕が食べたまだ新しいお店で、僕が一人客として食べていてちょうど両脇が空いている状態のときに
二人連れのお客さんが来ました。当然ながら席を一つずれて二人組のお客さんが並んで座れるようにすると、
後から店主さんがこっそりと「これ、良かったら!」とサービスの品を出してくれました! 

というエピソードがあったのですが、ここで大切なのは「僕が席を譲った!偉いだろ!」という話では全くなく、「そのような他のお客さんに対して配慮をもった客には何かしらのサービス(報酬)を与える。」という店主さんの店作りの姿勢であるのです。

そのように他のお客さんへの配慮をきちんと見てもらって評価され、報酬まで受け取ることができたお客さん(この場合僕ですが)は、このお店のことを「素晴らしい!また来たい!」と思うようになるでしょう。お店側からしたらこれはただ感謝の気持ちを表しただけではなく、そのように他人への気遣いができるお客さんが増えれば増えるほどに、お店の雰囲気が良くなってきます。その点では、このような「報酬」をお客さん同士の様々な気遣いに対して与えていくことは、将来的には良い客層の店にしていくための確実な投資であるとも言えるのです。

もちろん、これをあまり露骨にやっていくと、常連さんが「俺はこの店の常連だ!他の客とは違うんだ!だからサービスされて当たり前!」と勘違いしては結局質の悪い客へと転化する、という別の失敗に陥ってしまいがちです。
ただ、それに気をつけていきながらこのような「報酬」体系をお客さんに明示していくことはお店の雰囲気作りにはとても有効であると思います。

もちろん、これを計算してできる人と、あるいは本当に感謝の気持ちからそうする人と、店主さんの中には2パターンいます。感謝の気持ちからそうする店主さんの方が美しいですが、そちらの方が結局長期的には得をする、という功利主義的な知恵を教科書に載せたほうが人間社会はもっと円滑に回るのかもしれません。

若い店主さんのまだオープンしたばかりのお店でも、このような「どのようなお客さんにこそ来てもらいたいか」が
明確なお店、というのは将来が明るいものです。実際にそのお店もオープンして一年弱でもはや大人気店になっています。

翻って嚮心塾はどういうお客さんに来てもらいたいか、ですよね。この点では飲食店と違い、「勉強に困っている子に来てもらいたい!」とやってしまうと、それこそ勉強のできる子は来れなくなりますし、「勉強のできる子に来てもらいたい!」となってしまうと勉強の苦手な子は来れなくなってしまって、両者が机を並べて勉強できる環境を、という嚮心塾の理想からは外れてしまいます。。
ということは!どっちのお客さんも来てもらおう、と思っている時点で嚮心塾は繁盛しないことがわかりきってるのでは…。しまった!

(というのは冗談で、嚮心塾でも来てもらいたい客層を実は明確に決めています。それは(学力に関係なく)「思いやりを持てる子」です。言い方を変えれば、「自分の視野が広がることを不快とは感じない子」です。そこに関しては、来てもらいたいお客さんを明確にしぼっている、と言えると思います。繁盛はしていませんが!)
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