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嚮心(きょうしん)塾日記

西荻窪にある、ちょっと変わった塾です。

「限定ラーメン」の大切さ。

放置気味のこのブログの更新頻度が高いと、「そろそろあいつもやけになって気が触れたか!」と思われるかもしれませんが、単純にこの時期は朝8時から夜9時半まで塾にいるため、バタバタしているとはいっても空き時間は結構できます。そこでこまめにブログを更新していこう!と何度目かの決意をした次第です。

さて、嚮心塾に通っている生徒たちは必然的に今どこのラーメン屋がアツいかについて最新情報が得られるわけですが、実力のあるラーメン屋さんと言ってもお店ごとに様々な方針があります。一つの味を極めようとするお店もありますし、様々な味の限定ラーメンにチャレンジするお店もあります。どちらが正しい、どちらが間違っている、ということはありません。それぞれにポリシーがあってのことであると思います。

ただ、僕自身は様々な限定ラーメン、それもお店のメインの味ではなく、それとは遠い味にまで色々とチャレンジをするラーメン屋さんの方が好きです。通常のメニューをブラッシュアップし続けながらも、全く違う方向性の味を作ろうとするその努力には本当に頭が下がります。

限定ラーメンを作ろう、というこのような努力は一つは常連さんへのファンサービスという側面もあります。一方で、作り手自身が単調な作業にならないよう、自分自身が常に何かにチャレンジできるように、という目的もあるわけです。

自分を鍛えるときに大切なのは、そのように視野を広げていくことであると思っています。ある部分において自分が高いクオリティを安定して出せるようになったとして、それを維持すればいい、と守りに入るのか、少し隣の分野を見ればまだまだ自分が全然わかっていないことを受け入れてそれにも取り組んでいこうとするのかで、その人が成長できるかどうかは大きく変わってしまいます。人間というのは怠惰なもので、「うまくいっている」と感じるときにはやはり努力などできないものです。これに関しては、どのように超人的努力を重ねるアスリートや学者、芸術家であっても間違いのない真理だと思います。だからこそ、我々一般人から見て「超人的努力」を重ねているかのように見えるそれらの人々は、実はある部分についての「完成」よりもまた別の部分についての不十分さに目を向け、それをまた必死で埋めようとしている、ということの繰り返しをしているからこそ、当人たちには「そんなにすごいのに何でまだ努力できるの?」という問い自体が意味の分からないものであるのだと思います。将棋の羽生さん、プロテニス界のフェデラーなど、野球のイチローなど既に常人から見ればあまりにもさまざまなものを達成した人たちがなお、貪欲に自分にできないことを乗り越えていこうとする姿勢、というのはそのように視野を広げることから生まれるのではないか、と思います。

もちろん、この視野を広げる、ということが適切にできるかどうかが難しいわけです。ラーメン屋さんが「よし!視野を広げて新たなチャレンジをしてスキルアップをするために寿司も握るぞ!」とやるとたいていの場合失敗します(名店「四つ葉」のように数少ない例外がないわけではないですが。また将棋の羽生さんのチェスや森内さんのバックギャモンのように視野を広げた先までまで強くなるという例外もあるわけですが)。

この適切な視野の広げ方というのを言語化・定式化できるかチャレンジしてみると、
「自らの不完全さを痛感できるほどには視野を広げながらも、それに取り組む努力を自己肯定できるほどには遠く離れていてはいけない。」
ということではないかと思います。あくまでも視野を広げて自分がそれをできていないことを自認したときに、それを自分の「負債」と思えるか「新しいことにチャレンジする俺(私)、かっこいい!」と思えるかの分かれ目がその判断基準になると思います。前者の場合には自身がより鍛えられていくものの、後者の場合には新たなことに取り組むこと自体が目的になりがちです。後者のような循環に入ってしまうと、結局自らを鍛えているつもりで何も鍛えられていない、という失敗に陥ることになります。

これらを踏まえれば、その適切な視野の広げ方を教える側としては固唾を飲んで観察し、どのように広げていくかをアドバイスする必要があります。野球のノックで言えば「とれそうでとれないギリギリのボール」がノックの受け手にとって一番練習になる、というところでしょうか。それが近すぎても視野が広がらず、遠すぎればそれが捕れないことに悔しさを感じにくいため、あまり自分を鍛えることになりません。「これができていないのはまずいのでは?」と思える範囲を少しずつ広げていけるように、こちらとしては「ギリギリのところへの球出し」を一人一人に大して常に狙ってはいるのですが…。これが本当に難しいです。

一人一人の生徒たちが覚えた手順でラーメンを作るのではなく、彼らにとって力のつくような「限定ラーメン」を作ることにも果敢にチャレンジできるように、即ち自らの視野を少しでも押し広げられるように、残りわずかとなった入試期間の中でできる限り様々な工夫をやっていきたいと思います。
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