嚮心(きょうしん)塾日記

西荻窪にある、ちょっと変わった塾です。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

このエントリーをはてなブックマークに追加
PageTop

過去のパンフレットの巻頭言です。その5

それでもやはり、勉強をしよう。

 受験も間近に控え、塾では受験生達が、日々必死に勉強に取り組んでいます。一口に「必死」といってもその取り組み方は一人一人異なり、脇目もふらずまっしぐらに取り組む子もあれば、つらい勉強に嫌気がさしながらも何とか自分を勇気づけてがんばっている子もいます。
 そのように一人一人の勉強に対するスタンスが違う中で、同じ学校を受けるのであればペーパーテストで測れる実力に関しては、同水準のものが要求されるわけです。指導していてやはり感じるのは、この受験というシステム自体がどれほどの才能を取りこぼしているのか、というその一点に対する苦い反省です。測られる部分だけを特化して鍛えることに疑念を持たなければ持たないほどに、受験には向いているわけです。むしろ受験の中では計りえない部分に人間性の本質を感じる鋭敏な子達は、初めからこの受験社会の中ではハンディを負っています。
 もちろん、現行のテストを批判するだけでは仕方がありません。あらゆるテストが不完全であり、人間のごく一部しか計れないのは、当たり前のことです。問題は、その認識を皆がある程度共有しているかのように思われていながら、実はそうでもない(つまり、「測れている」と思っている)というところにあると思います。それはテレビのクイズ番組によくいる東大・京大出身のタレントを期待する視聴者としての我々の態度(「東大出て頭が良くてもあれじゃあ…」という見方をしているだけで、「東大出なんて頭が悪い!」とは言い切れない自信のなさ)にも現れているのではないでしょうか。

 そもそも、現在の子供達が以前ほどには勉強をしなくなったのは、この時代状況もあると僕は考えています。たとえば、僕自身が小学生だったのは25年前ですが、その当時、今と同じようにこのようにたくさんのゲーム機と携帯電話、インターネットがあふれていたら、活字を追って懸命に内容を理解する楽しみなどを身につける前にそれらの電子機器の用意された楽しみを追うことに忙しく、勉強も読書も手につかなかったのではないかと思います。
 さらには、「受験勉強をしていい大学に入れば安定した就職ができる」という神話自体が幻想であることはだいぶ明らかになってきていると思います。その瀕死の神話の最後のものとして、現在の大学受験では医学部志望熱が過熱しているわけですが、それもいつまで続くでしょうか(公認会計士は、合格者の人数を増やしたら早速の就職難だそうですが)。このような状況の中で、子供達に「勉強をしなさい。そうじゃないと将来生きていけないよ。」という言葉にどれだけの説得力があるのでしょうか。大人達が自らの個人的な成功体験(それは大いに、その当時の時代状況に依存しています)にしがみつき、「自分は勉強したからうまくいった。おまえもそうしろ。」といわれても、そもそも初期条件(ゲーム、ケータイ、インターネット)も違うわけですし、ましてや、それが何らかのcareerにどうつながっていくのかも見えにくいこの時代の子供達には空疎にしか響かないのかもしれません。

 このように、先が分からない時代の中、大人達が子供達に欠けるべき言葉は、「いいからだまされたと思って勉強しろ。後でいいことあるからさ。」ではなく、「それでもやはり、勉強をしよう。」という促しである必要があると僕は思います。受験勉強は確かに欠陥の多いものなのですが、しかしゲームが上達するよりは遙かに意味もあり、応用の利くものであると僕は考えています。そしてそのように始めた勉強は、受験のためのものを超えていくこともできるはずです。自分の興味関心を掘り下げて調べ、考えていくことは、単なる大学に入るだけのための勉強とは違って、入った大学の名前が通用しなくなるような時代が来ようと、子供達の手に残るものであると思います。
 福沢諭吉の『学問のススメ』があの当時あれだけのベストセラーになったのは、江戸時代から明治時代となり、人々がどのように生きていけばわからなかったが故でしょう。現在も、行き詰まっているが故に、そのようなプチ『学問のススメ』ブームであるのだと思います。そのブームを「勉強(学問)をすれば生きていけるに違いない!」と思いこませたりするのに利用するのではなく、「それでもやはり、勉強をしよう。」という姿勢の大切さを子供達にどこまで伝えられるかが、大人にとって担うべき責任であると考えています。
 
 嚮心塾で、しっかりと勉強をしていきましょう。頑張ろうという一人一人の気持ちに対して、決して裏切ることのない指導を心がけています。              2009年12月18日
関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加
PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。