
教育というのは成果が極めて見えにくいからこそ、そのプロセスや成果の「見える」化をしていきたいという誘惑に駆られるものです。特に子供の教育に身銭を切っておられる保護者の方々はそのように思うのも当然です。しかし、「「見える」化をしたい」という思いが強いゆえに、見える部分さえしっかりしていればそれで納得をしてしまうという失敗にも陥りがちです。それがよくある個別指導塾のように授業時間の中で家庭への指導報告書の作成に血道を上げては、目の前の生徒を放っておく、という悲惨な事態につながっているのだと思います。詳細な指導報告書を求めれば求めるほどに、その分指導については手抜きをするしかありません。個別指導塾で我が子への指導を手抜きにしてしまっているのは、実は詳細な指導報告書で安心をしたいという親御さんの願望であるのでしょう。
一方で受験生本人にとっても、勉強の成果というのは見えにくいものです。勉強というのはまずモチベーションが変わり、次に取り組む時間の長さが変わり、そして取り組む時間の質が変わり、最後に勉強の成果が成績となって出てくるものです。しかし、勉強に今まで真剣に取り組むことをしていなかった子ほどに、2段階目の時間を増やしたくらいでそれでも成果が出ないことを「こんなにやっているのに、成績が上がらない」と不満を訴えては「塾が悪い」「教師が悪い」と他に責任転嫁をするか、あるいはそもそも勉強へと長い時間を費やすことを放棄してしまいがちです。しかし、長い時間をやっては成果が出ないのならば、自分の勉強の仕方がまずいのです。書き写すだけの手の運動やふむふむと読んで理解している気になっているだけの「作業」を「勉強」と自分勝手に定義していないかどうか、という検証が隅々にまで必要になっていきます。「量」をこなしてみなければ自分の勉強の「質」が低いことに気づくことができない以上(なぜなら勉強の質はあくまで勉強量に対して測られるるものであるからです)、「最初に勉強のやり方を教えてほしい!そうしたら質が担保されたら、あとは量は頑張るから!」というよくなされる功利主義的なリクエストは、実はあまり効果が低いのです。「こんなに勉強しているのに、力がつかない!」という悩みをまずは本人が抱えていなければ、どのような優秀な勉強方法もその有り難みが本人にはわからないからです。
だからこそ、受験生本人にとって必要なのは、目に見えやすい「勉強時間」や「模試の成績」だけで満足したり悲観したりするのではなく自分の勉強を判断するだけではなく、自分が勉強に取り組む時間の中でどこをどう改善していくべきかを目を皿のようにして探す、「見えないものを見ようとする」力であると言えるでしょう。もちろん、それがどうしても自分では見えにくいところまでは人事を尽くした、あるいは2つの矛盾するが共に必要な改善法に対して今の時期はどちらを優先して取り組むべきかわからない、ということに対して受験の全体像を知る教師が的確なアドバイスをしていくことが大切です。しかし、教師にとって何よりも大切なのは、そのように見えないものを見ようとしては自分の改善点を探していく姿勢を、生徒達に伝えていくこと、すなわち生徒一人一人が誰よりも自分の勉強を厳しくチェックする主体であるような姿勢を伝えていくことであると考えております。
そのような自己研鑚の場としての嚮心塾に是非参加していただけたら嬉しいと考えております。見学や体験入塾は随時受け付けております。まずはこの塾の空気だけでも、味わいに来ていただけたらとても嬉しいです。
2016年3月15日 嚮心塾塾長 柳原浩紀
一方で受験生本人にとっても、勉強の成果というのは見えにくいものです。勉強というのはまずモチベーションが変わり、次に取り組む時間の長さが変わり、そして取り組む時間の質が変わり、最後に勉強の成果が成績となって出てくるものです。しかし、勉強に今まで真剣に取り組むことをしていなかった子ほどに、2段階目の時間を増やしたくらいでそれでも成果が出ないことを「こんなにやっているのに、成績が上がらない」と不満を訴えては「塾が悪い」「教師が悪い」と他に責任転嫁をするか、あるいはそもそも勉強へと長い時間を費やすことを放棄してしまいがちです。しかし、長い時間をやっては成果が出ないのならば、自分の勉強の仕方がまずいのです。書き写すだけの手の運動やふむふむと読んで理解している気になっているだけの「作業」を「勉強」と自分勝手に定義していないかどうか、という検証が隅々にまで必要になっていきます。「量」をこなしてみなければ自分の勉強の「質」が低いことに気づくことができない以上(なぜなら勉強の質はあくまで勉強量に対して測られるるものであるからです)、「最初に勉強のやり方を教えてほしい!そうしたら質が担保されたら、あとは量は頑張るから!」というよくなされる功利主義的なリクエストは、実はあまり効果が低いのです。「こんなに勉強しているのに、力がつかない!」という悩みをまずは本人が抱えていなければ、どのような優秀な勉強方法もその有り難みが本人にはわからないからです。
だからこそ、受験生本人にとって必要なのは、目に見えやすい「勉強時間」や「模試の成績」だけで満足したり悲観したりするのではなく自分の勉強を判断するだけではなく、自分が勉強に取り組む時間の中でどこをどう改善していくべきかを目を皿のようにして探す、「見えないものを見ようとする」力であると言えるでしょう。もちろん、それがどうしても自分では見えにくいところまでは人事を尽くした、あるいは2つの矛盾するが共に必要な改善法に対して今の時期はどちらを優先して取り組むべきかわからない、ということに対して受験の全体像を知る教師が的確なアドバイスをしていくことが大切です。しかし、教師にとって何よりも大切なのは、そのように見えないものを見ようとしては自分の改善点を探していく姿勢を、生徒達に伝えていくこと、すなわち生徒一人一人が誰よりも自分の勉強を厳しくチェックする主体であるような姿勢を伝えていくことであると考えております。
そのような自己研鑚の場としての嚮心塾に是非参加していただけたら嬉しいと考えております。見学や体験入塾は随時受け付けております。まずはこの塾の空気だけでも、味わいに来ていただけたらとても嬉しいです。
2016年3月15日 嚮心塾塾長 柳原浩紀
- 関連記事
-
-
何度も、間違えよう。
-
見えないものを、見よう。
-
環境を、嘆くな。
-
効率の良い勉強方法、教えません。
-
後悔をしないために。
-
絶望を、怠るな。
-
責任を、感じよう。
-



