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嚮心(きょうしん)塾日記

西荻窪にある、ちょっと変わった塾です。

それでも続けていく。

今年の国公立前期試験の結果はかなり厳しかったです。いつもなら勉強が間に合っている子、間に合っていない子が見えているので大体予測がつくのですが、今年は力が伸びて手応えがある子達まで合格に至らなかった子が多く、改めて受験の厳しさを僕自身再確認させられました。
 
物理屋さんが書いていらっしゃるように、この仕事というのは一人一人の受験生とお別れするために全力を尽くす仕事であるわけです。永遠にその人と別れるためにその人のことを愛する(という言葉が不穏当であるなら「思いやる」)というこの営みは、思いやりを交換や貿易、資本へと引きずり下ろす、様々な構造主義的無神経さ(構造主義によってこの秘密が暴かれたというだけでこれらは構造主義の罪ではない、という言明は無責任です。暴いた後の我々は、それを意識せずには人を思いやれないわけですから。)とは無縁の、愛や思いやりの本質を失わない行為なのではないかと思います。

しかし、まあ、これはしんどいですね。毎年、特にこの時期には、こんな辛い仕事などやめたくなります。

まあ、しかし、それでもやめる訳にはいきません。この社会の中で形にならないもやもやを抱えては、生き苦しくて悩んでいる子達にとっては、嚮心塾は最後の砦であるようです。僕は、彼ら彼女らの悩みを聞き、形にならない思いを吐露してもらい、その上で彼らの努力が(狭い範囲の評価基準しか持たない)こ8の社会と折り合いをつけていくその道筋を共に模索していくよりほかないようです。

自分が一番辛いときこそ、その自分を支えにしている人々のことを思い出して自分の責務を確認すると、自分が生きねばならないという事実を思い出します。僕にとってはこれが、自分が生き続けようと思う唯一の動機です。
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